Emotion & Commotion
1. Corpus Christi Carol
2. Hammerhead
3. Never Alone
4. Over The Rainbow
5. I Put A Spell On You
6. Serene
7. Lilac Wine
8. Nessun Dorma
9. There's No Other Me
10. Elegy For Dunkirk

久しぶりのジェフベックの集大成アルバム。

ジェフベックという人は、長いキャリアの中でスタイルをころころと変えてきているので、ファンになった年代によって今回のアルバムの感じ方は違ってくるのではないかと思います。マニア度によってもね。
私は、個人的には、さほどの驚きはなく、ここ数年セッションやなんかでやってきたことの集大成というか、今のジェフベックの自然体が切り取られたアルバムだな〜と感じました。ベックの場合、そういうのが昔は多かったですけどね。そう考えると昔的になっているのかな。ただ、今までの数枚より、肩の力が抜けてしなやかというかナチュラルな感じですね。
ああ、こういう感じになるだろうねって感じです。そういう面で少し期待はずれなところがなくもないですが、これまでの数枚より、よりベックのギターの音色が行き渡っているというか、空気の中に浸透しているような音の世界があると思います。今までのような激しさが少ないので若干物足りない感はありますが、代わりに今まであまり感じられなかった「優しさ」のようなものが全般にわたって息づいているように思います。流行風に言うと「癒し」でしょうか。
その面では、いまの時代性が自然に出ているといると言うことなのかも知れません。さすがですね。
それに多彩というか、ベックならではですが、ジャズ的なものからオールドロカビリー的なものからクラシックから、イージーリスニング的なものからいろいろなスタイルが入り乱れています。しかし、ベックのギターの音色や弾き方、演奏スタイルなどは同じなので統一感があるという、なかなかギターの演奏一本でこれだけの雑多をまとめられる人はいないと思います。とにかくギターのトーンが素晴らしい。トーンだけで統一感を保っているといっても華厳の滝ではない(懐かしいギャグ)。
にも関わらず、ベック的なアクが薄いというか。ただ、この「ベック的」というのがくせ者です。人によって「ベック的」が違うからです。私の場合は、オールドファン的な「ベック的」。つまりやんちゃなところですね。それが薄いというか、オールドファンは、どうしてもそこを期待してしまうのですが、もはやそれは「ベック的」ではないのかも知れませんね。
このアルバムは、これまでの数枚と趣が異なっているので、これからのベックを示唆するものなのか?ということを考えてしまいますが、どうでしょう???

アルバムの日本発売から10日ほどで日本公演が始まりましたが、メンバーはアルバムとは違っていました。
アルバムには複数のリズム隊やいろいろ混合みたいですが、来日公演はナラダマイケルウォルデンとロンダスミス、この人選は成り行きなのかあえての人選なのか分かりませんが、ひょっとしたらニューアルバよりこれからのベックを示唆しているのかも知れません。
何十年ぶりかの黒っぽいリズム隊で、同じジャズ畑ながらカリウタと違って大味なドラミング、タルちゃんより断然ファンキーで黒っぽいベース。
セッションなどでロカビリーをやったり、グラミー賞でハウハイザムーンを弾いたり(来日公演でもやっていましたが)、ジョスストーン、イメルダメイなどオーソドックスなフォーマットでの活動が増えていた中でのこのリズム隊。
そう考えると、アルバムはここ数年いろいろ実験したいなと思っていたことの結果発表的にクラシック的なものやなんかをやっていて、ひょっとしたらこれである程度満足しちゃってて、この先の方向性としてはやっぱり黒だぜってかんじで黒っぽいものに回帰していくのではないかという風にも思えます。
とくに来日公演でのRollIn'and TumblinやDaty などの曲のようで曲でないような、おそらくかなり即興性が高い演奏をみていると、こういった方向性に何かの面白さを見いだしているようにも思えます。
そう考えると今回のリズム隊の人選は、受け身ではなくあえて選んだのかも。ただ、ジェフベックという人は与えられた状況から偶然新しいものをつくりだすということに長けている人なので、今回も偶然が生んだ新方向なのかも知れません。って、新方向って決めつけていますが、分かりませんよ、本人に聞いてみないと(^_^;) 本人も分かってないかも知れませんが。またすぐ気が変わるかも知れないし。
ともかく、今回のアルバムは、静かに今のジェフベックの音色にどっぷり浸かって堪能するといった楽しみ方が一番なのかも知れませんね。

1〜2で別の曲なんですが、1は2のイントロみたいですね(^_^;)ライブで1だけ単独でやっていましたが、やっぱりなんか「イントロだけ?」感がありました。2の本編が始まると、おおっ!オールドベックファンはうれしくなってしまいます。なんとベックっぽいテーマのメロディ。マハビシュヌっぽいともいえますが。それもそのはず、ヤンハマーが書いているんですね。さすがだな〜ヤンハマー。久しぶりにこのベックらしいテーマの曲を聴きました。Star Cycle以来じゃないでしょうか。


2010.4.6

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